建設業界のBCP対策

目次

地震や豪雨など、自然災害の多い日本。建設業界は、災害時に社会インフラを復旧するという重要な社会的使命を担っています。いざという時に事業を継続し、地域に貢献するためにはBCP対策が不可欠です。本記事では、建設業界のBCP対策事例や、策定で押さえるべきポイントを解説します。

建設業界のBCP対策事例

中村建設

従来の安否確認システムでは、PCでの集計確認やメールアドレスとの紐づけに時間がかかり、回答率も50%程度にとどまっていました。そこで、LINE WORKSと安否確認Botを導入。スマホから直感的に回答できる環境を整備したことで、回答率は8割以上に向上しました。リアルタイムでの状況把握や従業員情報の自動連携も可能となり、災害時に迅速な指示を出せる体制が実現しました。

大林組

社会インフラを支える大林組では、災害発生時の「初動対応」を迅速に行うことがBCP対策の重要課題でした。自社の事業継続のみならず、顧客や社会の復旧を支援する使命を果たすため、緊急通報サービスや災害レポートを含む危機管理サービスを導入。これにより、災害後は1時間ごとに被害状況のサマリーが届き、早期に全体像を把握できるようになりました。情報収集にかかっていた手間と時間が削減され、正確かつ迅速な意思決定が可能に。休日や夜間にも確実に情報が届く仕組みを整えたことで、震災対策本部や防災情報センターの体制がより強固になり、全国展開も視野に入れたBCP体制の強化が進んでいます。

新産住拓

木造住宅の設計施工を行う企業では、1999年の台風被害を契機に災害対応マニュアルを整備し、熊本地震を機に地震対応へと拡充しました。社員の安否確認体制や緊急物資の備蓄、電話対応マニュアルの作成により、初動対応力を強化。被害状況を見える化する「被害受付表」を導入し、部門長への権限委譲で現場判断を迅速化しました。熊本地震では3,000件超の顧客対応を実現し、地域からの信頼を獲得。社員のストレス管理や他県工務店との協定により、人員・精神両面の支援体制も整備されています。

小熊建設

小熊建設は、社長就任後にBCPの重要性を認識し、プロジェクトチームを結成してゼロから策定を開始。熊本地震後に専門家の指導を受けて全面見直しを実施し、資産の棚卸しやリスク分析に約1年半を費やしました。顧客情報や工事図面の管理強化、発電機や予備バッテリーの配備、代替拠点の設置など具体的な対策を整備。社員教育や訓練も継続的に実施し、災害時の対応力を高めています。こうした取り組みで地域や顧客からの信頼を獲得し、レジリエンス認証の取得にも成功。今後は指揮系統の強化や関連事業者との連携拡大を課題としています。

建設業界のBCP対策のポイント

災害時の役割(応急復旧など)を計画に明記する

建設業界のBCPでは、自社の事業を継続させるだけでなく、災害時に地域社会に対してどのような貢献ができるかを明確にすることが大切です。例えば、「災害発生後72時間以内に、行政と連携して指定された緊急輸送道路の啓開作業に着手する」といった具体的な目標と役割を計画に明記します。これにより、社員一人ひとりが自分の使命を自覚し、混乱の中でも優先順位をつけて行動できるようになるでしょう。社会的使命を具体的なアクションプランに落とし込むことで、BCPはより実効性の高いものへと進化します。

本社だけでなく「各建設現場」の視点で計画する

建設業の事業活動の最前線は、本社ではなく各地の建設現場です。しかし、BCPが本社主導で策定され、現場の実態とかけ離れてしまうケースは少なくありません。各現場は、立地条件や工事内容によって抱えるリスクが異なります。そのため、本社機能の維持を考える計画とは別に、各現場単位で「被災した場合にどう行動するか」という視点を取り入れた計画が不可欠です。現場代理人や作業員が主体的に判断・行動できるような権限移譲や、現場ごとの避難経路、緊急連絡網の整備などを具体的に進める必要があります。

資材・重機・協力会社など代替調達先をリスト化する

工事の生命線である資材や重機、そして専門技術を持つ協力会社の存在は、建設業の事業継続において極めて重要です。災害によって、いつもの取引先が機能停止に陥る可能性は常にあります。こうした事態に備え、平時から代替となる調達先を複数リストアップしておくことが重要です。特定の地域に依存しないよう、地理的に離れた場所のサプライヤーや協力会社とも関係を築いておくことがリスク分散に繋がります。このリストは、いざという時に迅速な復旧活動を開始するための強力な武器となるのです。

安否確認システムの導入と定期的な訓練を徹底する

BCPは策定して終わりではなく、全従業員が内容を理解し、いざという時に実践できなければ意味がありません。特に、従業員の安否確認は初動対応の要です。メールやSNS、専用の安否確認システムなどを活用し、迅速かつ確実に情報を集約できる仕組みを導入しましょう。そして最も重要なのは、その仕組みが正しく機能するかを確かめるための定期的な訓練です。抜き打ちの安否確認訓練や、災害を想定したシミュレーションを繰り返し行うことで、BCPは単なる書類から、組織に根付いた「生きた計画」へと変わっていくでしょう。

ITツールを活用し、情報伝達・共有体制を強化する

災害時には、電話回線の輻輳や交通網の寸断により、情報の伝達が極めて困難になります。こうした状況下で、迅速かつ正確な情報共有を実現するために、ITツールの活用が欠かせません。クラウドサービスを利用すれば、どこからでも図面や工程表、各種マニュアルにアクセスできます。また、ビジネスチャットツールを導入すれば、複数拠点間でリアルタイムに被害状況や対応方針を共有することが可能です。平時からこれらのツールを業務で使いこなしておくことで、有事の際にも円滑な情報連携を実現するための基盤が整います。

まとめ

建設業界におけるBCP対策は、災害時に社会インフラを支えるという使命を果たすために不可欠です。自社の事業継続だけでなく、現場ごとの対応計画や資材・協力会社の代替確保も重要です。また、安否確認や情報共有にはITツールの活用が効果的であり、定期的な訓練により計画の実効性が高まります。平時からの準備と現場主導の体制づくりが、災害時の迅速な対応に直結します。

災害発生の初動を支援する!
【目的別】BCPツールの
選び方

BCPツールは、災害発生時に早期復旧できるような仕組みづくり・体制づくりに役立ちます。とはいえ「いろんな種類がありすぎて選べない!」という方も多いでしょう。ここでは、おすすめのBCPツールを3つの目的別にご紹介します。導入を検討している方は、自社の目的と照らし合わせながらチェックしてみてください。

公共交通機関・製造現場
混雑状況を瞬時に把握し
最適なオペレーションを遂行
BCP-PREP(アールシーソリューション)
BCP-PREP(アールシーソリューション)
引用元:アールシーソリューション
(https://bcp-prep.com/)
おすすめの理由
既存の運行管理システムや生産管理システムでは把握できない、混雑状況をリアルタイムで一元管理。刻々と変化する状況や人的リソースの確保状況を即座に把握が可能です。状況に応じた適切なリソース配分や人員配置の再構築を行えます。
ケアサービス事業者
利用者の安否確認を重視する
Biz安否確認/一斉通報(NTTドコモビジネス)
Biz安否確認/一斉通報(NTTドコモビジネス)
引用元:NTTドコモビジネス
(https://www.ntt.com/business/services/application/risk_management/anpi/lp/kw02.html)
おすすめの理由
災害発生時、スマホなど複数手段で自動配信。回答があるまで、最大5回までリトライ送信します。震度7の地震にも耐えるデータセンターで運用する安心・確実性の高い安否確認システムです。
不動産・小売事業者
災害時リアルタイムに
状況を確認したい
Bois(国際航業)
Bois(国際航業)
引用元:国際航業
(https://www.kkc.co.jp/service/lp/7855/)
おすすめの理由
拠点リストを登録しておくことで、災害時の情報収集を自動化。店舗や不動産など、複数物件を管理する場合でも、拠点ごとに事業への影響を自動予測し、迅速な初動対応を可能にします。

■おすすめの理由:Googleにて「BCPツール」で検索して調査した31社より、下記理由に基づき紹介(2024.3.20時点)
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・Biz安否確認/一斉通報...最も堅牢なデータセンターで運用されている安否確認ツール
・Bios...災害情報を自動収集・予測できる唯一の災害情報収集ツール

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