飲食店では自然災害のほか、食中毒や感染症など多様なリスクがあるため、緊急時の事業継続や早期復旧に備えてBCP(事業継続計画)を策定することが重要です。本記事では、飲食業におけるBCP対策の目的や災害別の具体例、平常時の取り組みから策定手順までを解説。危機管理に役立つツール・システムの事例も紹介します。
飲食店がBCPを策定する目的は、緊急時に従業員の安全を確保し、雇用を維持することです。店舗設備や食材などの資産を保護し、事業の中断を最小限に抑える狙いもあります。緊急時にも事業を継続できる体制を整えておくことは、経営の安定や顧客の流出防止にもつながる取り組みです。
店内にいる顧客の安全確保は、緊急時における重要な対応の一つです。自治体や地域との協定などがある場合には、帰宅困難者への支援や物資の提供といった役割を担うケースもあります。
地震への対策としては、調理器具の落下防止や、被災時に不足しやすい食材の代替調達先の確保が挙げられます。火災に対しては、初期消火の体制を整え、避難経路をあらかじめ確保しておくことが重要です。平常時でも、大型什器の固定や電気・ガス設備の安全点検など、店舗の設備に関する安全対策も進めておきましょう。
人が集まる飲食店では、感染症への対策も欠かせません。従業員の体調管理を徹底し、店舗の消毒や換気を日常的に行う体制づくりが求められます。感染症発生時には、必要に応じて保健所などの関係機関と連携できる体制を整えておくことも重要です。
BCPの策定は、まず基本方針を定めるところから始まります。そのうえで自店を取り巻くリスクを分析し、食材調達や衛生管理など優先すべき重要業務を特定。具体的な対策を検討したら計画書に落とし込み、安否確認や避難などの訓練を通じて内容を見直していく流れが基本です。
飲食店にはパートやアルバイトなど雇用形態の異なる従業員が多く、緊急時に全員の安否を迅速に把握できる仕組みが必要です。あわせて、営業再開に向けた代替要員の確保や他店舗との連携体制についても検討しておくことが求められます。
宿泊業・飲食サービス業を展開するLEOCでは、安否確認サービスを導入し、約26,000人の従業員を対象に、気象庁の情報と連動した安否確認の自動一斉送信を行う仕組みを構築しています。夜間や休日に災害が起きた場合でも、管理側の負担を抑えながら状況を把握できる体制が整っているのが特徴です。
スモーカーズカフェ・ブリケの大手町プレイス店では、感染症の流行時などに店内の密集を避ける危機管理策として、クラウドカメラと映像解析オプションを導入。プライバシーに配慮した映像をもとに店内の混雑状況を可視化し、顧客の待ち時間緩和や密の防止につなげています。厨房からも店内の状況を確認できるようになり、オペレーションの効率化にもつながりました。
飲食店のBCP対策は、従業員や会社を守るだけでなく、顧客の安全や地域社会を支えることにもつながる取り組みです。災害別のリスクを把握したうえで自社に合った計画を策定し、安否確認や状況把握に役立つツールの導入も検討しながら、災害に強い店舗づくりを進めましょう。
BCPツールは、災害発生時に早期復旧できるような仕組みづくり・体制づくりに役立ちます。とはいえ「いろんな種類がありすぎて選べない!」という方も多いでしょう。ここでは、おすすめのBCPツールを3つの目的別にご紹介します。導入を検討している方は、自社の目的と照らし合わせながらチェックしてみてください。

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