海運業においてBCP(事業継続計画)対策が重要視される理由と、有事の際に課題解決に役立つツールの種類、および実際の企業における導入事例について解説します。災害やシステム障害が発生した際、物流の中枢を担う海運業が事業を継続できるか否かは社会全体に大きな影響を与えます。
海運業は、経済活動の中枢である物流機能の中心を担っています。そのため、有事の際に事業が停止するとサプライチェーン全体に甚大な影響を及ぼし、荷主などのステークホルダーからは、実効性のあるBCP(事業継続計画)の構築が強く要請されています。
例えば、地震などの広域災害が発生し、本社や船舶のオペレーションに関わる拠点が被災したとします。その際、航行中の船舶の安全確保を前提としつつ、荷主から預かった貨物を可能な限り予定どおりに輸送し続けることが海運業の責務です。製造業などの荷主にとって、輸送の途絶は生産活動の停止に直結するため、海運業には平時からの徹底したリスク管理とBCP対策が求められています。
BCPを「策定済だが運用に課題がある」という状態から、実効性のあるものへと引き上げるためには、ITツールの活用が不可欠です。代表的なツールとして以下の3種類が挙げられます。
1. BCP運用管理ツール
事業の復旧状況や被害の影響範囲を一元管理し、可視化するツールです。災害時に必要な対応手順をクラウド上で確認しながら進められるため、迅速な初動対応と経営層の意思決定を支援します。
2. データバックアップシステム
基幹システムのデータ消失を防ぐ仕組みです。社内のサーバーが被災しても、遠隔地やクラウド上にデータがバックアップされていれば、早期の業務復旧が可能になります。
3. クラウドカメラ
離れた拠点の被害状況や現場の様子を、リアルタイムに視覚で把握できるカメラです。本部にいながら瞬時に状況を確認でき、BCP対策の初動を早めます。
実際にツールを導入することでBCP対策を強化し、有事の対応力を高めている海運・物流業界の3つの事例を紹介します。
海運業を担う約160名規模の社会インフラ企業では、タンカーの運航停止がサプライチェーンに与える影響の可視化が課題でした。そこで、BCP運用ツールを導入し、輸送業務の停止原因と影響範囲を構造的に把握する体制を整えています。訓練でのシミュレーションにも活用し、災害時の対応力を高めています。
旭海運では、基幹システムが社内サーバにあるため、障害発生時のデータ消失リスクがありました。そこでBCP対策としてデータバックアップシステムを構築しました。その結果、万が一の障害発生時でもシステムを切り替えることで、1時間弱で業務復旧できる仕組みを整え、事業継続の確実性を高めています。
吉田海運では、全国の物流拠点の状況を管理するためクラウドカメラを導入しました。これがBCP対策としても非常に有効に機能しており、災害などの緊急時でも本部にいながら遠隔で迅速に現場状況を確認できます。映像を通じて正確に状況を把握することで、スピーディな対応体制の構築を実現しています。
海運業におけるBCPは、単に計画を策定するだけでなく「有事に機能するか」が最も重要です。情報共有の遅れやデータ保護、現場状況の把握など、自社が抱える課題に合ったツールを導入することで、対応のスピードと正確性は大きく向上します。ツールの導入後は定期的な訓練を繰り返し、実効性を高めていきましょう。
BCPツールは、災害発生時に早期復旧できるような仕組みづくり・体制づくりに役立ちます。とはいえ「いろんな種類がありすぎて選べない!」という方も多いでしょう。ここでは、おすすめのBCPツールを3つの目的別にご紹介します。導入を検討している方は、自社の目的と照らし合わせながらチェックしてみてください。

■おすすめの理由:Googleにて「BCPツール」で検索して調査した31社より、下記理由に基づき紹介(2024.3.20時点)
・BCP-PREP…今回調査した中で唯一、拠点に対するBCPの対策進捗を把握、記録できるクラウド製品
・Biz安否確認/一斉通報...最も堅牢なデータセンターで運用されている安否確認ツール
・Bios...災害情報を自動収集・予測できる唯一の災害情報収集ツール